「江戸しぐさの終焉 (星海社新書)」は江戸しぐさが歴史的な事実に基づいたものではなく、戦後になってから芝三光という人によって創作されたものだということを指摘した同じ著者の前作「江戸しぐさの正体」(2014年発売)の続編。
前作「江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統 (星海社新書)
」が江戸しぐさとしてあげられている習慣がいかに江戸時代の実際の習慣としては不自然かというところに焦点が置かれていたのに対して、今作では江戸しぐさの歴史、そして現在がテーマになっている。
前作の公開から様々な資料が集まったのか、芝三光の半生や芝三光の作った「江戸の良さを伝える会」の活動についても詳しく書かれており、江戸しぐさの歴史が詳細にわかるようになっている。偽の歴史を作った人がここまで詳しく没後に調査されることも珍しいのではないだろうか?
芝三光亡き後も晩年に教えを受け継いだ企業コンサルタントの越川 禮子やその周辺の人々が江戸しぐさを広めていくあたりも詳しく書かれており、偽の歴史がどのようにして「常識」や「マナー」として広まっていくのかという興味深い事例になっていると感じた。